平成30年度 琉球大学医学部附属病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 833 526 442 993 1425 1665 2883 2237 1294 136
平成30年度に当院を退院された患者さんを10歳刻みの年齢階級別に集計したものです。
【解説】
 当院は沖縄県で唯一の特定機能病院であり、高度な医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しております。
 60歳代の患者数が最も多く、また、60歳代以上が全体の50%を占めています。平均年齢は55.6歳です。
 年代別の疾患をみると、10歳未満は地域の周産期医療を担っていることもあり、低出生体重児や先天性疾患の症例を多く診ています。10歳代は中耳炎を最も多く診ており、白血病、肺炎の順に多く診ています。20歳代は切迫早産が多く、平成29年度と比べて患者傾向が変化しています。30歳代は子宮頚癌が最も多く、切迫早産の順に多く診ています。40歳代は子宮頚癌に次いで子宮体癌と婦人科系疾患が多くをしめています。50歳~60歳代は白内障や網膜剥離等の眼系疾患が最も多く、続いて消化器系疾患が多い傾向となっており、特に食道がんの患者さんを多く診ています。70歳以上は眼系疾患が最も多く、前立腺癌、胃癌と続きます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科(呼吸器内科、消化器内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 93 4.83 10.00 0.00 57.90
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 46 12.17 10.08 2.17 64.13
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病あり 27 12.15 17.28 3.70 65.41
060050xx97x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 27 9.11 10.42 0.00 69.78
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり 25 12.04 19.34 0.00 63.68
 当科で最も症例が多いのは、肺悪性腫瘍の化学療法の患者さんです。順調に治療を継続できている患者さんでは数日の入院となっております。加えて近年の化学療法の進歩に併せて肺がんの化学療法の種類も多様化してきており、患者さんの状況に合わせた化学療法を行う事が増えてきています。
また消化器分野では胆管炎を含む胆道疾患があげられます。総胆管結石や膵頭部腫瘍、外科手術後による胆管炎や閉塞性黄疸に対し、入院加療で内視鏡的胆道ドレナージや抗生剤投与を行います。加えて手術適応のない肝臓がんや膵臓腫瘍などに関する化学療法も積極的に行われており、外科的治療以外の内視鏡的精査治療や化学療法も行われております。
第二内科(内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 副傷病なし 71 10.79 6.35 0.00 55.24
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 66 11.33 16.17 0.00 60.62
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 32 4.66 4.02 0.00 51.50
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 19 21.74 15.58 0.00 51.32
100190xx97xxxx 褐色細胞腫、パラガングリオーマ 手術あり 18 6.50 14.92 0.00 55.28
 非ホジキンリンパ腫で最も多いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、リツキシマブ併用化学療法を、九州・沖縄に多い成人T細胞白血病/リンパ腫では、多剤併用化学療法を行っています。ホジキンリンパ腫では、標準的化学療法(ABVD療法)や抗体療法(ブレンツキシマブ ベドチン)による治療を行っています。急性白血病では、最新の知見にそった化学療法を実施し、適応のある方には同種造血幹細胞移植を行っています。
 副腎の病気には、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。これらの病気が疑われる患者さんに、入院にてホルモン検査を行い、診断を確定させ、治療方針を決定していきます。人間ドックなどで、たまたま副腎に腫瘍がみつかった場合も、同様に入院で調べ、副腎ホルモンが多く出ているのか(機能性)、出ていないのか(非機能性)を判断して治療方針を決めます。
第三内科(循環器内科、神経内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 124 5.26 4.47 1.61 70.13
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 110 3.69 3.01 0.00 67.44
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 68 7.03 5.15 4.41 63.88
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 47 4.40 7.18 0.00 44.47
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 45 4.04 3.15 2.22 70.38
 第三内科当科の年間入院患者数は1156名、平均年齢は65歳、平均入院期間は14.1日です。入院患者の割合は、循環器内科60%、腎臓高血圧内科20%、脳神経内科20%です。循環器内科では狭心症などに対する心臓カテーテル検査や心臓カテーテル治療がこれまで同様に件数が多く、それに加えて大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や不整脈に対する心臓カテーテルアブレーション治療も増えてきています。腎臓内科では腎生検やIgA腎症に対するステロイドパルス療法、神経内科では脳血管障害による入院が多くなっています。
第一外科(消化器外科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 109 4.22 9.58 0.00 59.33
060020xx99x40x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 92 3.43 5.55 0.00 48.59
060035xx99x50x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 30 4.10 4.27 0.00 66.60
060020xx99x70x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等27あり 副傷病なし 26 3.00 7.51 0.00 59.88
060035xx99x60x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等26あり 副傷病なし 26 3.69 4.41 0.00 52.04
 一般的に進行したがんや、がんが再発した場合、標準的な治療で治療効果が不十分であることが多い事がわかっています。本院では切除できないほど進行したがんや、がんが再発した場合など、治療が難しいがんの治療を行うことが多い状況です。
 このような状況の中で、本院では特に食道がん・胃がんについては、進行したがんの手術前や切除できないほど進行したがん、再発したがんに対する治療として強力な化学療法をおこなっています。その治療効果により手術可能となるがんも認め、これまでに良好な治療効果が得られています。また、直腸がんについても直腸近くの臓器にがんが広がっている場合やがんが再発した場合にも積極的に化学療法をおこない、可能な限り根治手術を目指す治療を行っています。
第二外科(心臓血管外科、呼吸器外科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等21あり 副傷病なし 34 18.79 16.06 2.94 76.76
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 33 13.36 11.87 0.00 63.58
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 29 7.07 8.47 0.00 76.52
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 副傷病なし 22 4.73 8.75 9.09 67.64
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等21あり 副傷病なし 21 42.86 28.31 9.52 72.00
 胸部心臓血管外科領域において、患者さんへの身体的・精神的負担を軽減する目的として、低侵襲手術(体にやさしい手術)が進んでいます。大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(カテーテル治療)の導入により、これまで治療が困難であった患者さんにおいても安全に手術可能で、社会復帰も早くなっています。
 最近では、手術関連機器・留置技術の革新により、さらに高度な医療の提供が可能となっています。当科でもこの領域における低侵襲手術法を積極的に取り入れ、離島を含む沖縄県全域からの患者さんを受け入れ、対象患者数でも上位を占めています。呼吸器外科においては、主に肺がんや他のがんから転移してきた肺腫瘍を対象として外科治療を行っています。病院の特性上、拡大手術を手掛けることも多いのですが約8割は低侵襲な胸腔鏡補助下に手術を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx9905xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり 74 7.68 14.79 12.16 41.41
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 23 29.78 21.16 0.00 50.87
010010xx01x10x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等21あり 副傷病なし 15 34.47 30.74 13.33 61.33
010010xx99000x 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 14 13.79 11.45 28.57 54.50
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 18.72 - -
 脳神経外科では、悪性(初期治療で手術、放射線療法、化学療法を要す疾患)及び良性(原則手術摘出で初期治療は完了)の脳腫瘍疾患を中心に治療を行っています。初期治療後は化学療法で入院する症例(74名)及び、頭蓋内腫瘍は(23名)治療してます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 51 21.96 22.27 23.53 61.04
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 副傷病なし 39 6.95 5.59 2.56 29.15
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 39 28.72 26.30 87.18 74.46
140490xx970xxx 手足先天性疾患 手術あり 手術・処置等1なし 28 9.29 8.01 0.00 7.71
070041xx01x00x 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術 手術・処置等2なし 副傷病なし 16 19.44 17.50 6.25 67.63
 整形外科では平成30年度全547件の手術がありました。
 傷病名で見ますと股関節骨頭壊死、股関節症に対する人工股関節置換術が最多でした。当院は、厚生労働省による特発性大腿骨頭壊死症の全国調査に参加しています。若年者にも当科独自の3次元画像解析を用いた骨切り術や人工関節置換術を行っています。病態や年齢に合わせた手術を行い県内の関連病院から紹介される患者さんは増えています。
 2番目は手足先天性疾患性疾患になります。治療は装具を用いた治療から手術までと幅広く、その適応は治療開始年齢や日常生活への障害の程度によって決まります。その判断には高い専門性を必要とします。県外から紹介されてくる症例もあります。
 3番目は骨軟部腫瘍においては県内で唯一専門的に治療を行っている施設で、県内全域より紹介されてきます。
 4番目は股関節大腿近位骨折に対する人工骨頭挿入術の22件となります。高齢者に多く、増加の一途を辿っている大腿骨近位部骨折に行い、術後のより良い機能回復を目指して関連病院と連携し充実したリハビリテーションを実践しています。
 5番目は脊椎管狭窄症になります。やはり高齢者に多い疾患であり、程度に応じて脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術を行います。運動器に関する多岐にわたる症例を県内外から紹介され高度な医療を提供することが当院の特徴です。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070570xx012xxx 瘢痕拘縮 瘢痕拘縮形成手術 手術・処置等12あり 13 9.15 10.53 0.00 50.08
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 11 3.45 3.15 0.00 56.00
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり 11 3.27 3.20 0.00 46.82
140190xx97xxxx 小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖 手術あり 10 8.60 12.49 0.00 14.30
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - - 5.37 - -
 琉球大学形成外科では、主に顔の変形、体の表面の変形や、難治性潰瘍に対する治療を、先天性、後天性問わず幅広く行っています。特に力を入れているのは腫瘍切除後の再建手術、眼瞼下垂をはじめとしたまぶたや目の周りの手術、小耳症などの耳の変形に対する手術や、リンパ浮腫、顔面神経麻痺、顔面骨骨折などです。見た目のみならず機能の回復をも含め、できる限り患者さんの要望にお応えすることを目指しております
産科婦人科(産科、婦人科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 127 3.27 4.85 0.79 53.84
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 104 10.40 12.58 0.00 52.91
12002xxx99x50x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 88 2.27 4.82 0.00 51.34
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 78 3.04 4.61 0.00 59.26
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし 70 3.09 3.20 0.00 41.41
 1番目は子宮頸・体部の悪性腫瘍に対し化学療法を受ける患者様です。手術不可能な進行癌の場合は術前化学療法、再発リスクが高いと判断される場合は術後化学療法を行っています。化学療法は1または2日間で行われ、治療間隔は3または4週間毎となり、治療期間中は数日間の入院を繰り返します。
 2番目は子宮頸・体部の悪性腫瘍に対し開腹による手術療法を受ける患者様です。早期の子宮頸部の悪性腫瘍の患者様、および子宮体部悪性腫瘍の患者様は初回治療として手術を行います。
 3番目は進行子宮頸癌に対しベバシズマブを併用する化学療法を受ける患者様や、子宮肉腫に対しトラベクテジンによる化学療法を受ける患者様です。
 4番目は卵巣・子宮付属器の悪性腫瘍に対し化学療法を受ける患者様です。術後補助療法として行う場合と、手術不可能な進行癌に対する術前化学療法として行う場合があります。化学療法は1または2日間で行われ、治療間隔は3または4週間毎となり、治療中は数日間の入院を繰り返します。
 5番目は前癌病変である子宮頸部異形成や初期子宮頸癌に対し、子宮頸部切除術を受ける患者様です。1から5番目まで婦人科悪性腫瘍の患者様を対象としています。
 当院は沖縄県内のほとんどの婦人科悪性腫瘍患者様の診療を行っております。平成30年に治療を行った症例数は、子宮頸癌(浸潤癌)83例、子宮体癌67例、境界悪性・悪性卵巣腫瘍33例、外陰癌2例、絨毛癌1例でした。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 115 6.90 6.17 2.61 0.00
130010xx99x2xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等22あり 57 4.07 13.51 0.00 4.19
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 26 7.54 11.32 0.00 0.00
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等22あり 18 25.17 27.46 0.00 0.00
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 副傷病なし 17 8.06 6.19 0.00 3.53
 小児科および周産母子センター全体では、低出生体重児の症例が最も多く、てんかん患者の症例と続きます。周産母子センターでは、妊娠中の母体管理および出生体重1000g未満の超低出生体重児の管理とその合併症に対する治療を行い、母子ともに元気に退院できるように地域の周産期医療を担っております。てんかんの患者様は、染色体異常や先天代謝異常などの基礎疾患を伴った場合も多く、けいれん重積の治療や難治性てんかんの治療コントロールなどをおこなっています。他の症例については、小児腎臓病や小児膠原病の重症例に対する治療や生物学的製剤の治療導入や希少難病の患者様の診断や治療なども行っています。さらに、多岐にわたる基礎疾患のある患者様の感染症に対する治療や在宅酸素療法や在宅レスピレーター治療(人工呼吸器による治療)をおこなっている患者様の感染症などによる入院も多く、多職種にわたる医療スタッフでともに取り組んでいます。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 58 6.71 8.16 0.00 79.62
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 47 2.02 12.90 0.00 75.47
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 24 11.79 12.51 0.00 46.83
080190xxxxxxxx 脱毛症 18 3.00 3.52 0.00 35.67
080006xx97x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) その他の手術あり 手術・処置等2なし 15 7.80 10.44 0.00 73.00
 琉球大学皮膚科は他府県と比較しても、紫外線暴露が強く高齢患者が多いためか、顔面、頭部、前腕などの日光露光部位の基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫あるいは血管肉腫等の皮膚悪性腫瘍の重症紹介患者の入院が多く、手術療法から化学療法、免疫療法と引き続き加療しております。良性疾患ではありますが、広範な植皮手術を必要とする化膿性汗腺炎(膿皮症)患者も本邦の中では突出して多いといえます。また膠原病患者の入院も多くあり、患者数では自己免疫性脱毛症患者へのステロイドパルス療法での入院患者も多い傾向です。
腎泌尿器外科(泌尿器科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 86 2.86 2.53 1.16 71.88
110080xx9905xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり 57 2.09 10.50 0.00 70.75
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 53 6.02 10.97 0.00 67.47
110080xx9903xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 45 3.02 14.55 0.00 67.36
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 44 7.98 7.40 0.00 71.09
 進行した尿路上皮癌(膀胱がん、上部尿路がん)は、化学療法やがん免疫療法が行われます。また、転移性腎がんに対しては分子標的療法やがん免疫療法が行われます。転移を有する進行した前立腺がんに対してはホルモン療法が中心になりますが、その後は抗がん剤を用いた化学療法が適応され、骨を中心とした全身管理を要します。
化学療法による有害事象対策として、歯科口腔外科による十分な口腔ケアがまず第一に重要です。また、がん免疫療法による免疫関連有害事象(頻度は低いが全身のどの臓器にも起こりうる:肺臓炎、大腸炎、肝炎、副腎障害、1型糖尿病、重症筋無力症など)に対しては、全診療科の十分な経験のある医師による科横断的な対応が必要です。この点において、琉球大学病院は、歯科口腔外科を含めたすべての診療に対応できるため、有害事象に対してより安全な対応が可能です。
耳鼻咽喉科(耳鼻いんこう科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 174 8.43 8.29 0.00 39.74
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 48 8.15 7.89 0.00 32.94
030428xxxxxxxx 突発性難聴 48 7.23 9.02 2.08 52.54
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 45 6.91 7.37 0.00 53.02
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 43 5.65 7.04 0.00 48.14
 県内の中核病院として、離島を含めすべての地域から難治性の耳鼻咽喉科・頭頸部外科全般の方を受け入れています。特に、耳手術、頭頸部外科手術、鼻副鼻腔手術が多くなっています。指標の中で慢性中耳炎や中耳真珠腫の手術治療が最も多くなっていますが、手術の難易度が高いためです。患者さんの平均年齢は39.8才ですが、小児期の患者さんと中・高年の患者さんが主となっています。慢性副鼻腔炎では喘息を合併した重症副鼻腔炎手術、舌がんを含めた頭頸部手術も同様に多くなっています。扁桃・アデノイド手術は、IgA腎症を中心とした扁桃病巣疾患の患者さんを対象とし、腎臓内科との共同し実施しています。突発性難聴は、重症例のみ高圧酸素治療とステロイド治療、血管拡張療法を組み合わせて入院治療を行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 634 3.05 2.84 0.63 69.42
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり片眼 199 7.51 8.00 0.00 65.48
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり片眼 146 4.63 6.16 0.00 67.84
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 143 6.34 9.75 0.00 54.84
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 105 5.17 5.39 1.90 68.03
 沖縄県唯一の大学病院として重症な眼疾患を中心に診療を行っています。当科の強みは古泉英貴教授が専門としている黄斑疾患・網膜硝子体疾患の診断と治療です。その中でも特に欧米での失明原因の第一位であり、高齢化社会の到来と共に日本でも急増中の加齢黄斑変性に関して長年診療と研究に力を注ぎ、病態に応じた最適な治療方法を実践しています。また新垣先生、力石先生を中心に県内に多い閉塞隅角緑内障をはじめ様々病態の緑内障に対する治療に力を入れています。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x2xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 61 3.11 16.87 4.92 55.80
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 14 4.21 6.51 0.00 62.93
070040xx99x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等2なし - - 12.61 - -
060050xx97x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 10.42 - -
070040xx97x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) その他の手術あり 手術・処置等2なし - - 18.36 - -
 子宮頚癌に対する腔内照射は、標準的な放射線治療法としてガイドラインに記載されています。しかし県内において治療可能な施設は当院に限られており、県内で子宮頚癌の放射線治療を行った方は、ほぼ全員が当院で治療を受けています。甲状腺癌に対する治療法のひとつとして、ヨード内服治療法があります。内服後の数日間は特殊病室に入院していただく必要ある、特殊な治療法です。当施設はヨード内服治療にも対応している、県内唯一の施設です。肺の放射線治療、特に定位照射(いわゆるピンポイント照射)は、高精度放射線治療機器を有する施設で行うことが出来ます。当院は県内の基幹病院として、また入院対応可能な病院として、全県域から患者さんを受け入れております。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 14 6.79 5.10 0.00 76.29
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 12 1.75 3.56 0.00 43.67
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 11 13.82 12.58 0.00 71.36
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 11 2.91 7.35 0.00 25.00
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2なし - - 3.27 - -
 大学病院では臓器別の診療科が治療することが多いですが、腎臓・尿路系の感染は特定の専門科がないこと、また敗血症ショックという命にかかわる重篤な病態を起こさないことに救急科として取り組んでいます。薬物中毒は、身体的治療の後から円滑に精神科と連携した診療ができます。頭部外傷で手術を要さないもの、前庭機能障害の内科的治療など、専門診療科で対応できない疾患、すなわち櫛の抜けたところをしっかりとカバーしております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 17 56 92 17 44 1 7,8
大腸癌 - 10 26 86 62 47 1 7,8
乳癌 19 15 - - 10 54 1 7,8
肺癌 21 26 41 94 49 116 1 7,8
肝癌 - 15 - 17 12 21 1 7,8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院は、県内唯一の都道府県がん診療連携拠点病院として、がんに対する高度な医療を提供しています。当院では5大がんのみならず、希少がんを含め多くのがん治療を実施しており、子宮頸がん、口腔・咽頭がん、皮膚がんが上位3部位です。各種がんに対して標準治療を行うとともに、大学病院として臨床試験も行っています。また、手術、放射線療法および薬物療法に携わる専門的な知識および技能を有する医師やがん医療に携わる専門職等が職種を越えて集まり、適切な治療を提供することを目的として院内で検討会(キャンサーボード等)を定期開催し、それぞれの患者さんに最善の治療を目指しています。
 5大がんの治療については以下のとおりです。
 胃がん、大腸がん : 進行例であるStageⅣの割合が多いです。早期例に対する腹腔鏡を使った低侵襲手術等の外科的治療や進行例に対する薬物療法を積極的に導入しています。
 乳がん: StageⅠとⅡで約6割を占めています。手術や放射線療法といった局所治療と、内分泌療法、薬物療法などの組み合わせで、その人の状況に合った治療を行っています。
 肺がん: 進行例であるStageⅣが最も多く、薬物療法を中心に治療を行っています。また外科的治療として胸腔鏡を使った低侵襲的な手術も行っています。
 肝がん : 進行度に合わせて、外科的手術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法等を行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 22 9.50 56.14
中等症 54 13.44 69.61
重症 14 13.50 79.43
超重症 - - -
不明 - - -
 成人市中肺炎の重症度別患者数等
 成人の市中肺炎の患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。重症度については成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(A-DROP)を用いて分類しています。
【定義】
・病院外で日常生活をしている人に発症する肺炎です。入院後に発症したものや、他院や施設からの転院は除いています。
・インフルエンザ等、ウイルス性肺炎、誤嚥性肺炎も除いています。
・成人の肺炎の指標ですので、小児肺炎は除いています。
【解説】
軽症~中等症の患者さんが最も多くなっています。中等症、重症の患者さんは平均年齢も上がり、在院日数も長くなりますがネーザルハイフローやIPVなどの機器を積極的に使用し治療にあたっております。大学病院ということで重篤な基礎疾患を持つ患者さんも少なくないですが軽症、中等症、重症とも在院日数は全国平均と比べても短くなっています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 35 30.54 67.37 48.94
その他 12 50.75 66.33 17.02
 脳血管障害当院では、脳血管障害の中でも血管が破れて起こる脳出血、血管が詰まって障害が起きる脳梗塞の両方を診察していますが、脳梗塞の占める割合が多く、年間50例程度の入院があります。当院は、発症から3日以内の脳梗塞急性期症例を多く受入れており、脳卒中専門医による適切な急性期の治療を行っています。神経内科と脳神経外科で連携をとりながら、超急性期の経静脈的血栓溶解療法にも積極的に取り組んでいます。急性期の治療に加え、脳梗塞発症の原因を超音波検査やMRI検査などで調べ、再発予防のための方針を立てています。また、ひとたび脳梗塞を起こすと、麻痺などなんらかの後遺症を残す例が70%におよぶため、発症早期からリハビリテーション科と連携を取り積極的にリハビリテーション介入を行っています。急性期脳梗塞治療を行ったあともリハビリテーション継続が必要となる場合は、速やかに回復期リハビリテーション病院へ転院できるよう、地域連携室と協力しながら進めています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科(呼吸器内科、消化器内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 34 2.88 10.85 2.94 66.74
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 32 4.41 11.72 9.38 64.00
K654 内視鏡的消化管止血術 27 2.00 5.33 3.70 68.78
K708-3 内視鏡的膵管ステント留置術 27 3.81 8.44 0.00 65.33
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 25 1.56 7.92 4.00 75.00
 消化器内科では,近年生活習慣病にともなう肝臓がんの患者が増加しています。患者さんの状態にもよりますが、主な治療法の一つである肝細胞癌に対する血管塞栓術を行うことが増加しています。放射線科と共同で行っており有効な治療として位置づけられています。また近年胆道系、膵臓系の悪性腫瘍に対する内視鏡的なステント術も増加しております。これらの処置を行う事によって患者さんの状態を改善、維持しさらに近年有効になりつつある化学療法を行う事によって予後を改善するようにしています。消化管に関しては通常の胃、十二指腸からの出血に対する止血処置のみでなく、小腸カメラを使用した止血術も行われており関連施設からの紹介も増加してきています。
第二内科(内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) - - - - -
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) - - - - -
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) - - - - -
 血液内科では、標準的化学療法で根治が困難な場合に、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植を実施しています。また、悪性リンパ腫の確定診断のために、リンパ節生検を行ったり、抗がん剤の血管外漏出を防ぐために、植込型カテーテル留置を実施しています。
第三内科(循環器内科、神経内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 104 3.82 3.16 0.96 70.60
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 53 4.21 3.25 5.66 64.08
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 39 11.74 16.08 15.38 86.21
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 22 2.23 2.18 0.00 67.09
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 21 4.00 2.57 4.76 75.86
 当科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈形成術と経皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療の症例が多く、年間200件以上の治療を行っております。心臓カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓までカテーテルという管を通して、バルーンやステント、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルなどを用いて病変の治療を行います。患者さんの状況に合わせて、検査と治療を同時に行う場合と、検査から日数をあけて治療を行う場合があり、入院期間は3日から7日程度と幅があります。当院では県内で唯一大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も施行しています。TAVIは、全身麻酔下に足の付け根もしくは心臓の先端部よりカテーテルを挿入し、カテーテルを通して人工弁を留置する治療法です。胸を大きく切開せず、心臓を止めずに治療ができるため、外科的な弁置換術と比べて患者さんの体への負担が少なく、入院も1週間から2週間程度で済みます。当院では2015年8月に県内で初めてTAVIを施行し、2019年3月までに130名以上の患者さんを治療しています。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する経皮的肺動脈形成術を県内で唯一行っています。経皮的肺動脈形成術は、首や足の血管からカテーテルを挿入し、肺動脈内の血栓による狭窄や閉塞をバルーンを用いて治療する手術です。入院期間は7日間程度です。不整脈に対する心臓カテーテルアブレーション治療も力を入れており、平成30年度は年間50名以上の治療を行いました。
第一外科(消化器外科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 20 2.25 11.55 0.00 61.85
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 20 3.25 4.50 0.00 59.70
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 16 10.75 11.88 0.00 53.69
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 14 6.79 13.36 14.29 70.93
K5223 食道狭窄拡張術(拡張用バルーン) 13 0.08 2.46 0.00 47.46
 当院では、手術のなかでもより体に負担の少ない治療として、腹腔鏡を用いた胆のう摘出手術や、鼠径ヘルニアの手術を行っています。また、大腸がんや直腸がんの手術としても、積極的に腹腔鏡を用いた手術を行い、安全で回復の早い治療を提供しています。また、抗がん剤などの特別な点滴のため、植込型カテーテルの手術も行っています。また、抗がん剤や高カロリー等の特別な点滴のため、埋め込み型のカテーテル手術も行っています。乳癌は進行度に応じて乳房を切除する手術を行います。食道癌の治療後などに食堂が狭くなり(狭窄といいます)飲み込みにくくなることがありますが、これもなるべく身体に負担の少ない治療として、バルーンで拡張する方法を用いています。
第二外科(心臓血管外科、呼吸器外科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 31 0.00 0.94 0.00 65.26
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 25 1.40 0.88 0.00 66.24
K5612イ ステントグラフト内挿術(1以外の場合)(胸部大動脈) 23 4.13 16.91 8.70 74.30
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 22 3.73 11.41 0.00 65.18
K5612ロ ステントグラフト内挿術(1以外の場合)(腹部大動脈) 22 5.14 10.68 0.00 75.86
 バスキュラーアクセス(血液透析のための血液の取り出し口)に関しては、シャント作製外来、シャントトラブル外来があり、シャント狭窄に対して低侵襲な経皮的シャント拡張術(shunt PTA)を行っております。患者さんの全身状態により、日帰りまたは1泊入院での治療を可能です。大動脈瘤に対する低侵襲治療である胸部・腹部ステントグラフト内挿術は、標準的な手術のオプションとして安定した治療成績を確立しています。当診療科でも主要別患者数の上位にランキングされ、この治療法の需要は高まっています。沖縄県全域から紹介患者を受けいれる体制を整えており、緊急手術においても迅速かつ安全に治療可能となっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 52 9.04 33.90 7.69 53.96
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) - - - - -
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
K1742 水頭症手術(シャント手術) - - - - -
 頭蓋内腫瘍の摘出術は52症例、内視鏡下経鼻的処置を施した下垂体部腫瘍は6症例でした。腫瘍摘出術は術中MRIを常時併用しています。また、神経機能モニタリング(MEP、VEP、SEP、Ⅶn、蝸牛神経)や5-ALA蛍光診断、光線力学療法など、多種数のモダリティーを用いて手術の安全性や適格性に努めています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 67 1.51 21.46 31.34 62.40
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹) 33 1.85 5.79 3.03 43.42
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 32 4.72 20.81 78.13 67.06
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 24 2.63 19.92 33.33 67.83
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕,下腿) 17 0.82 2.94 0.00 30.53
 運動器を扱う整形外科の対象手術には外傷(急性)、変性疾患(慢性)、骨軟部腫瘍、小児運動器などがあり、手術別患者数では四肢、脊椎の変性疾患に対する手術が上位を占めています。1番目の人工関節置換術(67例)は術後3週以内での自宅退院を目指したプロトコールを作成して治療を行っています。2番目は骨軟部腫瘍の手術です。術前後の化学療法や切除後再建まで含めた県内で唯一専門的に治療を行っている施設で、県内全域より紹介され良性19例、悪性14例と増えてきています。
 3番目の骨折観血的手術や4番目の脊椎疾患に対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術などのは、術後のより良い機能回復を目指し、リハビリテーションを専門とした関連病院への転院率が高くなっています。   
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 10 0.50 2.60 0.00 52.10
K0101 瘢痕拘縮形成手術(顔面) - - - - -
K019 複合組織移植術 - - - - -
K628 リンパ管吻合術 - - - - -
K0102 瘢痕拘縮形成手術(その他) - - - - -
 琉球大学形成外科では、幅広い手術を行っていますが、中でも手術顕微鏡を用いたマイクロサージャリーの手術件数は県内随一となっています。近年では頭頸部再建手術のほか、リンパ浮腫手術、乳房再建手術にもマイクロサージャリーを応用した症例が増えています。また、独自の方法による低侵襲な眼瞼下垂症手術、脂肪由来幹細胞を用いた変形の治療など、一般病院ではなかなか難しい挑戦的な治療も積極的に行っています。
産科婦人科(産科、婦人科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K861 子宮内膜掻爬術 87 0.05 0.71 0.00 42.55
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 72 4.15 6.90 0.00 33.26
K867 子宮頸部(腟部)切除術 66 1.02 1.11 0.00 41.55
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 63 3.71 6.63 0.00 34.30
K879 子宮悪性腫瘍手術 59 1.39 11.54 0.00 51.51
 1番目の手術は子宮内膜増殖症、異型子宮内膜増殖症、子宮体癌などの患者様が対象になります。診断目的やホルモン療法の治療効果判定のために行われます。
 2番目の手術は分娩の経過中に母体や胎児に異常を認める場合、急いで分娩を行うための手術になります。当科で妊娠管理を行ってきた妊婦様の分娩時に行われる場合の他、他の産科施設で緊急帝王切開術が必要と判断され母体搬送となる症例も受けております。
 3番目の手術は前癌病変である子宮頸部異形成、および初期子宮頸癌の患者様が対象になります。当科では、術中や術後の出血を少なくするためにレーザーメスを使用した手術を行っております。
 4番目の手術は何らかの理由(前回帝王切開分娩や胎児が骨盤位など)により、予め帝王切開分娩が計画される患者様が対象になります。
 5番目の手術は、子宮頸・体部の悪性腫瘍に対する手術になります。早期子宮頸癌、および子宮体部悪性腫瘍の患者様が対象となります。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈,静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 12 5.75 70.83 8.33 7.67
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) - - - - -
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - - - - -
K5351 胸腹裂孔ヘルニア手術(経胸又は経腹) - - - - -
K5622 動脈管開存症手術(動脈管開存閉鎖術(直視下)) - - - - -
 小児科および周産母子センター全体では、低出生体重児の症例が最も多く、てんかん患者の症例と続きます。周産母子センターでは、妊娠中の母体管理および出生体重1000g未満の超低出生体重児の管理とその合併症に対する治療を行い、母子ともに元気に退院できるように地域の周産期医療を担っております。てんかんの患者様は、染色体異常や先天代謝異常などの基礎疾患を伴った場合も多く、けいれん重積の治療や難治性てんかんの治療コントロールなどをおこなっています。他の症例については、小児腎臓病や小児膠原病の重症例に対する治療や生物学的製剤の治療導入や希少難病の患者様の診断や治療などもおこなっています。さらに、多岐にわたる基礎疾患のある患者様の感染症に対する治療や在宅酸素療法や在宅レスピレーター治療(人工呼吸器による治療)をおこなっている患者様の感染症などによる入院も多く、多職種の医療スタッフでともに取り組んでいます。また、小児血液・がんの専門的治療を県内でも少ない専門施設として行っています。貧血や血小板減少症などの良性疾患から白血病、リンパ腫、固形がん(神経芽腫、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など)、先天性免疫不全症まで、多岐にわたる疾患を対象に治療をおこなっています。これらの疾患の治療として骨髄移植があり、健康なドナーの方からいただいた骨髄の造血細胞を病気の患者様へ投与します。高度な専門的知識と技術、経験が必要であり、沖縄県では小児の移植が可能な施設は本院のみで施行可能です。現在、年間約10例の移植が行われており、患者様の生命予後を改善しています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 67 1.28 4.78 0.00 77.67
K0151 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術(25cm2未満) 12 1.00 5.50 0.00 70.92
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) 10 1.10 4.70 0.00 54.60
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) - - - - -
K013-21 全層植皮術(25cm2未満) - - - - -
 琉球大学皮膚科は県内皮膚悪性腫瘍の殆ど全ての症例の治療を担当しており、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、血管肉腫等の外科的原発巣切除やリンパ節郭清の皮手術症例が大多数を占めます。その他では良性ながら沖縄に多い化膿性汗腺炎や毛巣瘻などの一般病院では施術の難しい植皮手術が多数を占めます。良性皮膚腫瘍の手術は大部分を外来施術として行っていますが、高齢者、大きな腫瘍、合併症の背景によっては、入院の上での手術としても行っております。
腎泌尿器外科(泌尿器科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 57 2.51 6.00 3.51 71.58
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 38 1.71 9.16 0.00 67.37
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 31 2.29 8.65 3.23 63.45
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 25 2.04 4.96 0.00 73.40
K865-2 腹腔鏡下仙骨腟固定術 22 1.95 5.64 0.00 69.18
 膀胱がんは膀胱温存可能か否かの判断が非常に困難なことが多く、琉球大学病院ではそのような困難症例を多く紹介されています。筋層浸潤膀胱がんは膀胱全摘除術が適応となりますが、時間と人手もかかるため琉球大学病院が中心になって行っております。泌尿器腹腔鏡技術認定医は、琉球大学病院には現在6名と沖縄県内・外でも有数であり、腎・副腎の腹腔鏡下手術、骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨膣固定術や先天性水腎症に対する腹腔鏡下腎盂形成術にも対応しています。前立腺がんに対する手術は、ほとんどダヴィンチ手術(ロボット支援下腹腔鏡下前立腺摘除術)で行っています。ロボットを用いない腹腔鏡下前立腺摘除術も行いますが、本術式は沖縄県内では琉球大学病院が唯一の認定施設です。平成30年秋よりロボット支援下腎部分切除術も開始します。琉球大学病院は、ほぼすべての泌尿器科疾患と治療法に対応しています。
耳鼻咽喉科(耳鼻いんこう科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 101 1.12 5.89 0.00 38.41
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 73 1.62 6.37 0.00 43.68
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 57 1.00 6.61 0.00 31.21
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 30 1.00 3.43 0.00 51.27
K318 鼓膜形成手術 27 1.15 1.33 0.00 32.67
 耳鼻咽喉科領域では、慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、慢性扁桃炎・IgA腎症などの扁桃病巣疾患に対する口蓋扁桃摘出術、重症慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型が指標に挙げられています。副鼻腔炎手術例では喘息と合併する好酸性副鼻腔炎が増加しています。ナビゲーションシステム,内視鏡システムなどを用いて安全な手術を実施しています。いずれも術前日数や在院日数が少ないのが特徴です。これ以外に舌がん,咽頭癌,喉頭癌などの頭頸部悪性腫瘍では、放射線科と共同して血管内抗がん剤治療と放射腺治療を組み合わせた臓器・機能温存治療,形成外科と共同して機能形態再建手術に取り組んでいます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 734 1.37 1.07 0.82 69.51
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 389 1.12 3.89 0.26 62.54
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 163 1.09 2.75 0.00 67.28
K2683 緑内障手術(濾過手術) 131 1.43 6.41 0.00 65.71
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 52 1.13 1.50 0.00 63.40
 沖縄県唯一の大学病院として重症で難易度の高い眼科手術を行っています。現代では水晶体再建術(白内障手術)は安全に短時間でできるようになった治療ですが、硬い白内障、水晶体亜脱臼、緑内障合併、高齢者など手術が難しい患者さんがおり、当科にはそのような方が紹介されてきます。硝子体茎顕微鏡下離断術(硝子体手術)とは網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、硝子体出血、黄斑円孔、黄斑前膜といった重度な視力低下につながる疾患に対して行う手術です。当院では1年間に600件近くこの手術を行っており全国の他の大学病院と比較してもトップクラスの件数を誇っています。緑内障手術は眼圧を下げるために行いますが、高い技術と手術後の緻密なケアを必要としており、県内でこの手術を行える施設は限られています。新しい治療方法も積極的に取り入れ安全で効果の高い治療を行えるように日々努力しています。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 49 1.92 1.55 2.04 57.59
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) - - - - -
K142-4 経皮的椎体形成術 - - - - -
K300 鼓膜切開術 - - - - -
K5223 食道狭窄拡張術(拡張用バルーン) - - - - -
 放射線科における血管内治療(塞栓術)は大きく腫瘍を対象としたものと、非腫瘍性病変を対象としたものに分けられます。腫瘍を対象とした治療に関しては、根治治療から緩和治療まで幅広く行われるのが特徴で、非腫瘍性病変を対象としたものは血管奇形(血管腫や動脈瘤など)の治療を行います。近年、この低侵襲による血管内治療(塞栓術)を受ける患者様が急激に増えています。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 - - - - -
K0801 関節形成手術(肩,股,膝) - - - - -
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) - - - - -
K726-2 腹腔鏡下人工肛門造設術 - - - - -
 救急患者のうち、外因性の疾患では外傷による骨折の治療、手足の軟部損傷、内因性では消化管出血の初期治療などを行います。外因性および内因性の緊急を要する疾患・病態の初期治療に対応します。  
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 26 0.21%
異なる 11 0.09%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 55 0.44%
異なる - -
 播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、真菌感染症、手術・術後の合併症の患者さんについて、入院契機となった傷病と同一か異なるかに分けた患者数とそれぞれの発生率(請求率)を集計したものです。
この指標は、医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきもので、DPCデータの精度向上を図るために公表することとされている項目です。

➢ DPC6桁コード・・・DPCコードは傷病名、実施した手術、実施した処置、年齢、重症度、副傷病等の内容に応じて14桁のコードに分類されています。その中で左6桁は傷病名による分類を表しています。

➢ 入院契機・・・DPCコードは、入院期間中に医療資源を最も投入した傷病名(DPC傷病名)から決定しますが、それとは別に入院の契機となった傷病名がそれぞれの患者さんには付けられています。この指標では、DPC傷病名と入院契機傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。

➢ 発生率(請求率)・・・平成29年度の退院患者数に対し、各傷病名で診療報酬の請求を行った患者さんの割合です。

 【解説】
  ◇播種性血管内凝固症候群
 播種性血管内凝固症候群とは、さまざまな重症の基礎疾患により、血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる疾患です。基礎疾患には、急性前骨髄球性白血病・前立腺がん・肺がんなどの悪性腫瘍、前置胎盤早期剥離・羊水塞栓などの産科系疾患、敗血症、熱傷、外傷など、さまざまな疾患があります。これらの基礎疾患の悪化に伴い、大量の血液凝固促進物質が血管内に出現することが原因と考えられています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例、異なる症例が、どちらも10例未満でした。

  ◇敗血症
 敗血症とは、感染症に起因した重篤な全身性炎症反応の症状を引き起こす疾患です。悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病といった基礎疾患や未熟児、高齢者、手術後といった状態から起こる場合が多いとされています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例が26例で発生率0.21%でした。

◇その他の真菌感染症
 真菌はいわゆるカビです。そのため、空気中、土中のあらゆる場所に存在します。しかし、健康な人は抵抗力があるため、普通は感染しません。不潔にしていたり、抵抗力が落ちていたり、何らかの病気で免疫力が低下することにより、真菌感染症を発症します。感染症にかかりやすいのは、小児、高齢者や、糖尿病、免疫不全症、免疫抑制を行っている患者さん、抗がん剤治療を行っている患者さんがこの中に入ります。
 真菌感染症で代表的なものは、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコックス症です。
  
◇手術・処置等の合併症
 DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一であるものが55例0.44%でした。
 最も多いのは腎不全の患者さんで、人工透析や腹膜灌流を行う際に必要なシャントやカテーテル等に、狭窄や閉塞、感染を発症し、その治療を目的として入院しています。次に人工関節のゆるみや脱臼のため、再置換手術を目的として入院している患者さんが続きます。また、手術後の創部感染や腹腔内の感染等の治療目的の患者さんもおり、これは基礎疾患の悪化により感染症を発症したことが原因のひとつと考えられています。
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